画像はイメージですカンザラ発掘で「歌」が学術記録へ
編集部2026/9/28 2:01:09
ギニアビサウで進む遺跡発掘の現場で、研究成果を人々に伝える手段として「歌」が活用されています。西アフリカのカアブ王国(16世紀半ばから19世紀にかけて存在したとされる)の昔の首都だったとされるカンザラの遺跡で、考古学チームが口承の歴史を重ね合わせる形で取り組みを行いました。歌い手として登場したのは、カアブ王国の歴代を歌い継いできたとされるグリオ(口承の歴史家)の系譜の子孫で、発掘の内容を歌として再構成したと報じられています。
なぜこの試みが注目されるのでしょうか。通常、考古学の成果は論文や報告書という「書かれた形」で共有されがちです。一方で西アフリカには、世代を超えて出来事を語り継ぐ伝統があり、研究チームはその役割を国際的な学術記録の中でも、より真剣に扱うべきだと訴えています。つまり「学術」と「地域の記憶」を別物として扱うのではなく、同じ土俵で関係づけようとする姿勢が見える取り組みです。
報道によれば、スペインの研究チームがカンザラで調査を進めるにあたり、グリオの直系の後継者に対して、歌の形で伝えるプロジェクトを依頼しました。さらにその歌は、発掘によって得られた考古学的な情報と一緒に共有される形になっているとされています。現地の人々にとっては、歌は単なる芸能ではなく、過去を学ぶための媒体でもあるからです。
また、研究者側は、口承の物語で語られてきた出来事の一部が、考古学調査の成果と「よく一致している」可能性があるとも述べられています。ここで重要なのは、一致したこと自体を“すべての裏付け”として断定しているわけではない点です。あくまで、口承の知識が手掛かりになり得ること、そして研究の解釈に寄与し得ることを示す試みとして位置づけられています。
このようなアプローチは、歴史の裏付けが難しい地域では特に意味を持ちます。文字資料が限られる場合、過去を知る手段は自然に口承へ寄っていきます。しかし、その口承を「伝承として尊重する」だけで終わらせるのではなく、発掘や調査のプロセスと結びつけることで、研究の見え方そのものが変わる可能性があります。今回の取り組みは、口承を“補助的な情報”にとどめず、研究として扱う方向性を強める事例として受け取れます。
さらに、地域の歴史を学ぶ方法としても、歌は実用的です。報道では、グリオがカンザラで世代間の学びを担ってきたこと、歌が楽器(たとえばコーラのような弦楽器)に合わせて行われてきたことなどが紹介されています。学術報告だけでは届きにくい対象に対して、地域が慣れ親しんだ形で情報を届けることは、研究の社会的な受容にもつながります。
今後の見通しとしては、同様の連携が他地域の調査にも広がるかが焦点になります。口承の歴史は、語り手の記憶や時代の文脈の影響も受けます。そのため、研究側には、音楽や語りの特徴を手掛かりにしつつ、考古学的な証拠とどう整合させるかという丁寧な設計が求められます。今回の事例が示すのは、「歌を使うこと」そのものより、口承と学術を往復させる枠組みを作り得る、という点です。
編集部メモ
今回のポイントは、発掘の成果を“文字で届ける”だけでなく、“地域が理解してきた方法”で共有しようとしたところにあります。口承の歴史が研究の入り口になれば、歴史の見え方が変わる可能性があります。今後同種のプロジェクトが増えるなら、歌や語りの扱いが単なる演出ではなく、検証可能な形で研究にどう組み込まれていくのかを注目するとよいでしょう。
引用元: VOA Africa
この記事はAIが要約・編集しています。



